亡くなられた方の名義になっている車をどうしたらよいでしょうか。
相続放棄の余地
最初に確認すべきなのは,亡くなった方に多額の負債がないことです。
相続放棄したくなるような借金がある場合に,ある程度の価値がある車を相続してしまうと,相続放棄ができなくなってしまうことがあるからです。
3つのパターン
次に考えるべきは,その車を相続人が使いたいかどうかという点。
パターン1
「相続人のうち誰もその車を使わない。」
「まだ年式が新しいなど,ある程度の価値がありそう。」
このような場合は,買取り業者で査定をしていただいて,納得がいけば売却するのがよいでしょう。
パターン2
「とりあえず誰も乗らないけど,形見として遺したい。」
このような場合は一時抹消がよいです。ナンバーを返納し,課税も発生しない状態にして保管することになります。
「誰も乗らないし,もはや価値がない。」
このような場合は永久抹消するのがよいです。解体業者に解体していただくことになります。
パターン3
他方,相続人が使用するのであれば,亡くなった方から相続人へ名義変更をすることになります。
以上,通常は売却・抹消・名義変更の3パターンから1つを選択することになるでしょう。
車の相続の要素
3パターンとも,
⑴亡くなった方から相続人全員へというステップと,
⑵相続人全員から特定の相続人へまたは第三者へまたは抹消というステップ
の2つの要素を含んでいます。
⑴のステップが相続特有のステップです。
⑵のステップは通常の自動車登録手続きです。
2つのステップを1回の手続きで行う分,車の相続手続きはややこしく見えてしまいます。
しかし,⑴と⑵をつなぐための書類として,遺産分割協議書や戸籍謄本等の書類が必要となるだけなのです。
残念ながら⑴の段階で相続特有の様々な問題がある場合は,⑴と⑵がうまくつながらず車の登録手続きも滞ってしまいます。
⑴の段階に特に問題がなければ,車の相続手続きもスムーズに完了します。
まとめ
このように,車の相続手続きを考えるときは,相続の問題と自動車の登録手続きの問題を分解して考えれば,多少なりとも理解しやすいのではないでしょうか。
遺産分割協議で問題が生じなければ,車の手続き自体は通常の売買や引っ越しなどの場合と変わらないのですから。
車の問題にとどまらず,遺産分割協議で問題が生じないよう,生前に遺言や家族信託などを活用されることをおすすめいたします。
当事務所では,車の処分や登録手続きから,その他の財産の相続手続きまでお手伝いさせていただくことができます。お気軽にご相談下さい。