1. 「また月末だ…」その焦り、繰り返していませんか?
自動車販売店の営業担当の皆様、このような経験はありませんか?
「月末に売れた!嬉しい!…でも納車まで時間がない!」
「お客様は県外在住。車庫証明が間に合うか…?」
「1月24日に申請して、30日に車庫証明が上がる予定。これを月末31日に登録するには…?」
例えば、広島のディーラーが島根県の西部にお住まいのお客様に車を販売したケースを考えてみましょう。月末の登録を目指すには、30日に発行される車庫証明書を、島根県西部の警察署から東部の運輸支局まで、誰かが運ばなければなりません。物理的に車で運ぶか、輸送業者に託すか。しかし、そこには移動時間という確実な壁と、遅延・誤配という不確実なリスクが常に存在します。
なぜ、いつもこのような綱渡りのような状況に陥ってしまうのでしょうか?その原因は、「OSS申請」という選択肢を、最初の段階で検討していないからかもしれません。
2. なぜOSS申請なのか?その絶大な効果
OSS(ワンストップサービス)申請は、単なる電子申請システムではありません。特に納期の厳しい案件において、絶大な効果を発揮する「切り札」です。
メリット | 内容 | 短縮効果 |
---|---|---|
1. 車庫証明の審査期間短縮 | 多くのケースで、警察署での審査が紙申請より早く完了する。 | おおむね1日以上 |
2. 車庫証明の輸送が不要 | 警察署から運輸支局へ証明書を物理的に運ぶ必要がなくなる。 | 1日以上の短縮 |
合計 | 2日以上短縮の可能性! |
OSS申請の最大の強みは、この「車庫証明の審査期間短縮」と「物理的な輸送のカット」です。まず、多くのケースで、OSS申請は警察署での車庫証明の審査が紙申請よりも早く完了します。これにより、おおむね1日以上の時間的余裕が生まれます。(※ただし、管轄の警察署や申請時期によって日数が変わらない場合もあるため注意は必要です。)
さらに、遠隔地の警察署から運輸支局へ車庫証明書を送る物理的な輸送が不要になるため、ここでも1日以上のリードタイムを確保できます。この2つの効果により、合計で2日以上も納期を短縮できる可能性があるのです。輸送遅延のリスクから解放され、より確実に、よりスピーディーに。これがOSS申請がもたらす最大の価値です。

3. その案件、OSSできる?営業担当者のための「主なチェックポイント」
「そんなに良いものなら、なぜみんな使わないの?」と思いますよね。OSS申請には、利用できないケースがいくつか存在します。ここでは特に頻出する代表的なケースを挙げますが、他にも対象外となるケースは存在します。まずは商談の段階で、以下の点に当てはまらないかを確認する癖をつけましょう。
✅ チェックポイント1:所有者は変わりますか? (所有権留保)
「所有権留保のまま、使用者だけを変更する」手続きは、現在のOSSでは申請できません。自社所有になっている車両を自社ローンでご購入いただくケースだろうかと自問してください。 そういうケースではなく、所有者が変わる移転登録であるなら、最初の関門はクリアです。
✅ チェックポイント2:中古車の新規登録ではありませんか?
次に確認すべきは、その車が「中古車新規登録」に該当するかどうかです。そして、ここが重要なのですが、会社の方針として中古車新規登録のOSS申請に対応しているかを確認する必要があります。電子保安基準適合証を発行できるにもかかわらず、「窓口申請のみ」というスタンスの販売店様も存在します。自社の方針をあらかじめ確認しておきましょう。
電子保安基準適合証を送信可能で、かつ、種別をOSS申請に設定できる販売店様であれば、この関門もクリアです。
なお、予備検新規登録は2025年7月24日現在、OSS申請対象外です。
✅ チェックポイント3:特殊な車両や事情はありませんか?
その他にも、残念ながらOSS申請できないケースがあります。車両の種類の制限や手続きの種類による制限です。
- 相続や合併が関係する移転登録はOSS申請できません。
- 貸渡しから自家用への用途変更を伴うケースもできません。
【重要】OSS対象外ケースの確認
上記はあくまで代表的な例です。最新の情報や、その他の詳細な条件については、必ず公式サイトをご確認ください。
▶ OSSポータルサイト|OSS対象手続き
4. 目指すべき思考回路:「OSS思考」で仕事を変える
月末の焦りをなくし、店舗販売目標を達成し、かつ、顧客満足度を向上させるための新しい仕事の進め方、それが「OSS思考」です。
月末ギリギリの契約
お客様が運輸支局から遠い場所にお住まい
連休を挟む日程
上記の「主なチェックポイント」を頭の中で確認する。「所有者は変わるな、OK」「移転登録だから中古新規じゃないな、OK」「特殊車両じゃないし、合併も相続も絡まないな、OK」(もし判断に迷ったら、すぐ行政書士に相談!)
OSS申請は、車庫証明申請に必要な書類を含む、登録に必要な書類がすべて揃った状態ではじめてスタートできます。だからこそ、お客様と会社の両方から、できるだけ早く、まとめてすべての書類を集める意識が重要になります。マイナンバーカードを使った電子委任状を使えば、さらに短縮の余地があります。お客様の負担も軽くなります。
まとめ
OSS申請は、単なるITツールではありません。それは、営業担当の皆様の「思考回路」を変えるきっかけです。納期が厳しい案件に気づき、OSSという選択肢を考え、必要書類を揃えて行動する。この「OSS思考」を身につけることで、月末の焦りから解放され、お客様にはよりスピーディーな納車という価値を提供できます。結果として、顧客満足度は向上し、あなた自身の仕事もよりスムーズに進むはずです。次の案件から、ぜひこの「OSS思考」を試してみてください。